Domaine de Chevalier

ドメーヌ・ド・シュヴァリエ

フランス:ボルドー ペサック・レオニャン地区 ※赤・白:Crus Classe des Graves

 

規模は小さいものの評価はトップクラスのシャトー

 グラーヴ地区レオニャン村に60ha所有。グラーヴ地区では、赤・白の両方のワインが造られているのが特徴で、ドメーヌ・ド・シュヴァリエの赤は、ぺサック レオニャンのアペラシオンの花形の赤ワインで、白に関しても偉大な白ワインとして世界的にも認められ、赤と白とも名声の高いワインを造り出しています。1983年にボルドーでグランヴァンを扱うネゴシアンであるベルナール家の所有。エレガントで複雑な風味が魅力的なワインです。
 

 
ペサック・レオニャンの森に囲まれたドメーヌ・ド・シュヴァリエ。「騎士」という意味の「シュヴァリエ」が名前についているのは、このドメーヌがスペインの巡礼地、サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの通り道にあり、それを守る騎士という意味で付けられたと言われています。17世紀の資料にはすでに、この地にブドウ畑や醸造施設などがあったことが記されています。1865年~1983年の間、リカー家が所有し、5代に渡って引き継がれました。2代目のジャン・リカー氏は土地の良さを見抜き、畑を拡大し、3代目のガブリエル・ボーマルタン氏は、ドメーヌ・ド・シュヴァリエの知名度の向上に力を注ぎ、 グラーヴ地区の中で最も評価の高いシャトーの一つと言われるようになりました。1881年のボルドー・エ・セ・ヴァン誌には、「このシャトーのワインの上品さはブドウ畑によってもたらされ、ブドウ畑は美しい色のワインを作らせる」と記されています。リカー家4代目、ジャン・リカー氏は先代が維持してきた品質を守り、1940年代に数々の素晴らしいヴィンテージを生み出しました。5代目のクロード・リカー氏は、新しい醸造設備の導入、収穫時の選果を徹底させ、1957年からは赤ワインのマロラクティック発酵を採用。また、ボルドー大学のエミール・ペイノー教授の協力を得て、白ワインの品質を向上させることにも成功しました。
 
1983年、蒸留酒製造企業を所有していたベルナール家がドメーヌを買収。責任者となったオリヴィエ・ベルナール氏は、先代のクロード・リカー氏と一緒にワイン造りに携わっています。「何もしないことは、何かをすることより難しい。自然を尊重すれば、自然の連鎖、節理で果実は繊細かつエレガントになる」とオリヴィエ・ベルナール氏は語っており、あくまで自然に任せたワイン造りを行っています。1990年代に入ってから、 そのクオリティにはますます注目が集まっており、現在ではシャトー・オー・ブリオン、シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンに次ぎ、グラーヴのトップ2~3に入る優良ドメーヌとなりました。
Blanc
2014
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ・ブラン
¥19,900 品切中
2013
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ・ブラン
¥14,500 品切中
2012
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ・ブラン
¥16,100 品切中
L'esprit de Chevalier Blanc
2015
レスプリ・ド・シュヴァリエ・ブラン
¥4,990
 
Rouge
2012
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ・ルージュ
¥11,000
 

ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
 レオニャン南西の郊外にある森の中にひっそりとたたずむドメーヌ・ド・シュヴァリエの小さなシャトーは、まさに通向きのワインを生産している。生産量はほんのわずかで、ペサック=レオニャンでも垂涎の的だ。何よりすばらしいのは、その完全無欠な品質である。
 ドメーヌ・ド・シュヴァリエの名声が貴族的なクロード・リカールによるものであることは間違いない。彼はここを1942年に相続したが、一族のつまらない争いから、1983年に大手の蒸留酒の会社、ベルナールに売り渡す羽目になってしまった。クロード・リカールはその後も運営権を持ち続けたが、結局それも、オリヴィエ・ベルナールに譲渡してしまった。
 ドメーヌ・シュヴァリエの赤ワインは、オー=ブリオンやラ・ミッション・オー=ブリオンに代表されるような、グラーヴの強烈でリッチな、土の香りのするスタイルとは異なる。1990年代以前は、微妙な、ミネラル分を感じさせる、土っぽい特徴を持ち合わせていたが、ボディはずっと軽く、ペサックやタランスのグラーヴ・ワインというよりも、スタイルの点ではメドックに近いものであった。新しいオーナーがこのシャトーを所有するようになってからは、より大柄で構造のしっかりした、力強いワインづくりを意図的に目指している。それはそれで問題はないのだが、1990年代初めのヴィンテージは樽香が強すぎて、このワインの魅力やフィネス、隠そうとしても隠しきれないドメーヌ・ド・シュヴェリエの個性を覆い隠してしまっている。
 ドメーヌ・ド・シュヴァリエの白は、私の知る限りではボルドーで唯一、オークの新樽で1年以上寝かせられるワインだ。生産量は微々たるものだが、樽から飲むとすばらしい逸品である。しかしたいていの場合、瓶詰めすると閉じ、10年以上花開くことがない。それでも、優れた赤ワインよりも熟成に時間がかかり、しかもより優雅になる特徴を備えている。赤ワインの多くのヴィンテージよりも明らかに長命で、25年~35年は楽に持つ。
 ペサック=レオニャンの南部(グラーヴの北部)を訪れた人は、誰もがドメーヌ・ド・シュヴァリエへの道を探して迷うものだ。1970年代末に初めてここを訪問しようとして、私も途方に暮れてしまったことがある。三方を松林に囲まれたクリーム色のこのシャトーは、レオニャンの東にある県道109号線をたどってセスタに向かえば見つかるはずだ。入り口を示す標示が現れるので、それに従えばシャトーに行ける。
 この比較的小さな畑の土壌は基本的に砂礫質だが、粘土質と鉄分、そして相当量の黒砂も含んでいる。ここでは、春の遅霜と、頻繁に来襲する雹がブドウにかなりのダメージを与えることがある。不思議なことに、ボルドーのほかのメジャーなシャトーで、ドメーヌ・ド・シュヴァリエほどこの2つの天災を被るところはない。
 ドメーヌ・ド・シュヴァリエは、メドックの二級シャトーにも匹敵する、高価なワインである。
 
~一般的な評価~
 赤について言えば、1990年代初めのドメーヌ・ド・シュヴァリエは期待を裏切ってきたことで知られている。それ以後、赤は劇的によくなった。白は常に一流の品質だが生産量が少ないため探すのは難しい。ドメーヌ・ド・シュヴァリエのワインは高価である。
 
<赤>
平均年間生産量 ドメーヌ・ド・シュヴァリエ:8万本、レスプリ・ド・シュヴァリエ:9万本、ペサック=レオニャン:2万5000本
畑 面積:30ha、平均樹齢:30年、植樹密度:1万本/ha、平均収量:45~48hl/ha
育て方:30℃以下での発酵と3週間のマセレーションは温度管理された100hl、150hl入りのステンレスとエポキシ張りの槽で行う。熟成は毎年3分の1ずつ更新される樽で18~22ヶ月。清澄も濾過も行う。
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン65%、メルロ30%、カベルネ・フラン2.5%、プティ・ヴェルド2.5%

<白>
平均年間生産量 ドメーヌ・ド・シュヴァリエ:1万2000本、レスプリ・ド・シュヴァリエ:1万本
畑 面積:4.5ha、平均樹齢:30年、植樹密度:1万本/ha、平均収量:40hl/ha
育て方:発酵と18ヶ月の澱熟成は新樽30%で、清澄も濾過も行う。
ブドウ品種:ソーヴィニョン・ブラン70%、セミヨン30%