Chateau Pape Clement

シャトー・パプ・クレマン

フランス:ボルドー ペサック・レオニャン地区 ※赤:Crus Classe des Graves
 

 
 7世紀もの歴史を誇り、しかもひとりの教皇の情熱から生まれた偉大なワインというのは珍しい。1305年、フィリップ4世の庇護の下で教皇に選出されたクレメンス5世は、その名を冠したシャトー・パブ・クレマン(パブは「教皇」、クレマンは「クレメンス」のフランス語読み)の所有者であった。
 オーナー自らが作品を追求し、ボルドーで最初にすべての除梗を手作業で行うようになった。葡萄の粒は細心の注意の下、重量に任せて木製の発酵槽に入れられる。小区画の畑に合わせて、ひとつひとつが容量の槽になっていて、ここでも念入りな配慮の下に発酵が進められる。
 伝統と最先端技術の長所を両立させながら、シャトー・パブ・クレマンのワインは、品質を厳しく追及して仕上げられる。
 栽培においては、自然が最良の形で表現されるよう、障害となるものを取り除くことにすべての作業が集中している。環境保全農業を実践し、土壌の作用を高めるため、除草は行わない。
Rouge
2010
シャトー・パプ・クレマン・ルージュ
¥33,620 品切中
2004
シャトー・パプ・クレマン・ルージュ
¥11,300 品切中
Blanc
2014
シャトー・パプ・クレマン・ブラン
¥20,500 品切中
2004
シャトー・パプ・クレマン・ブラン
¥11,300 品切中
 

ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
 ボルドーにおいて最も古いシャトーとブドウ畑の1つを有するパプ・クレマンは、ペサック近郊の有名なシャトー・オー=ブリオンから数㎞のところに位置している。歴史的には、パプ・クレマンはボルドー地域の最も重要なシャトーの1つであった。もともとの所有者の1人、ベルトラン・ド・ゴは1299年にこの田舎の地所を買い取り、、その6年後に法王クレマン五世となった。教皇の座を陽光のまぶしい、神聖なプロヴァンスの町、アヴィニョンに移すという彼の大胆な決定は、フランス人に称賛された。この歴史上の一時期は「バビロン捕囚」として知られ、アヴィニョンの外にあるシャトーでクレマン五世によってつくられたワイン、シャトーヌフ・デュ・パプという名とともに人々に記憶されている。クレマン五世はアヴィニョンにとどまり、パプ・クレマンの畑を教会に譲り渡し、そこはフランス革命のさなかに剥奪されるまでは、誰に邪魔されることもなく営みを続けていた。
 1937年の凶暴な嵐のような雹で完全に打ちのめされてしまったブドウ畑は、1939年にこのシャトーを購入した、卓越した農業工学者であったポール・モンターニュによってよみがえった。現在、シャトーは故モンターニュの相続人が管理しており、運営は、ベルナール・マグレが担い、多大な情熱とエネルギーを注ぎ込んでいる。
 1950年代、1960年代、そして1970年代初めにはパプ・クレマンの品質を疑う者などいなかったのだが、細部への注意不足や、設備への投資を怠ったことから、1975年以降、質の低下が深刻なものとなった。その後の10年にこのシャトーがつくったワインはしばしばカビ臭く、新鮮さに欠け、早い話が出来の悪いものだった。貧弱から凡庸なワインが続いたが、それは1985年、若くて熱心なベルナール・プジョルが雇い入れられて終わりを告げた。プジョルには、パプ・クレマンの品質を復活させるための全責任が与えられ、その最初の結果が深遠なる1986年に表れた後は、偉大なオー=ブリオンやラ・ミッション・オー=ブリオンに近づき、肩を並べるほどになってきている。プジョルは1990年代の後半に辞し、ベルナール・マグレは聡明なワイン醸造コンサルタント、ミシェル・ロランを雇った。
 パプ・クレマンは極度に軽い、砂利質の土壌の上にあり、よくできたときには魅惑的で抗しがたいブーケがあり、タバコとミネラルの強い香りと混じり合ったたっぷりとした黒系果実の香りがする。メルロの割合が比較的高いため、ごく若いうちから飲めるし、最高のヴィンテージには数十年間熟成し続けるものもある。1980年代後半の5年でパプ・クレマンはボルドーの花形の1つになり、2001年、2000年、1998年、1996年、1990年、1988年、1986年といった深遠なワインを生み出した。
 彼らの品質への新たなこだわりは、希少な白ワイン用の畑の割合が増加していることでもわかる。昔はごくごくわずかな生産量(通常100ケース以下)はシャトー専用であったが、今は600ケース近い白ワインをつくっている。手短に言えば、ここはボルドーのスーパースター・シャトーの仲間入りをしたのである。
 
~一般的な評価~
 骨の髄までエレガントで、複雑で、ボルドーの中でも最も独特なワインであるパプ・クレマンは、1986年のヴィンテージ以降、とりわけベルナール・マグレがこのシャトーを手に入れてからは絶好調である。マグレは、1990年代後半以降のヴィンテージが実証しているように、このシャトーをボルドーの最高レベルに押し上げようと、懸命にあらゆる努力をしている。抜け目のない愛好家ならぜひとも買うべきワインである。
 
<赤>
平均年間生産量:9万5000本
畑 面積:30ha、平均樹齢:27年、植樹密度:8000本、平均収量:39hl/ha
育成:コールド・マセレーションは3日間。発酵とマセレーション(カベルネ・ソーヴィニョンについては26~29日間)は温度管理された木製槽で行う。ビジャージュは手作業。マロラクティックと20ヶ月の熟成は新樽で。清澄はしないが濾過はヴィンテージによる。
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン58%、メルロー42%
所有者:ベルナール・マグレ
 
<白>
平均年間生産量:6000本
畑 面積:2.8ha、平均樹齢:20年、植樹密度:8000本、平均収量:37hl/ha
育成:発酵と11ヶ月の熟成(攪拌あり)は澱の触れたまま新樽70%で行う。清澄も濾過も行う。
ブドウ品種:ソーヴィニョン・ブラン45%、セミヨン45%、ミュスカデル10%