Chateau La Mission Haut-Brion

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン

フランス:ボルドー ペサック・レオニャン地区 ※赤ワイン:グラン・クリュ
 

 

人生は短いのだから、ラ・ミッション・オー=ブリオンを飲んで楽しむべき

道を隔てたシャトー・オー=ブリオンとグラーブ地区のトップを競い合う名門。1993年にオー・ブリオンの所有に移り、更に品質を高めています。完璧な繊細さとエレガンスを誇り、長い熟成につれて底知れぬ深みと複雑味を備え始めます。

2013
シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン
¥31,300   品切中
2004
シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン
¥43,100  品切中
1999
シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン
¥43,100  品切中

ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
 タランスのラ・ミッション・オー=ブリオンは、ボルドー地域全体の中で最もすばらしいワインの1つを生産している。このシャトーは国道250号線をはさんで長年のライバル、オー=ブリオンと対峙しており、20世紀のほぼ全期間にわたって、比べるもののない輝かしい記録を持つ。
 このシャトーには長い歴史があり、17世紀にラ・ミッションの信徒によって設立された。ワインのほとんどは教会の重要メンバーのためにつくられてきた。フランスで最も権力を持っていた歴史上の人物であるリシュリー(ラ・ミッションの熱心な支持者であった)はこう述べている。「神が酒を飲むことを禁じていたとしたら、このように良好なワインをつくったであろうか?」フランス革命の結果、このシャトーは教会から略奪され、個人に売却された。ウォルトナー家が1919年にラ・ミッションを取得し、特に故フレデリックとその息子アンリが、ラ・ミッション・オー=ブリオンのワインの品質を、メドックの一級シャトーや隣のオー=ブリオンに匹敵し、時にはしのぐほどまでに高めたのである。

 ウォルトナーの才能はボルドーで広く認められている。彼は天賦の味覚を持つテイスターであり、エノロジストで、1926年に清掃が簡単な、内側をカラス・コーティングした金属製発酵槽を導入したパイオニアでもある。評論家の多くが、ラ・ミッションの濃厚で豊かな、力強くて果実味に富んだ個性は、背の低い、ずんぐりした形の発酵槽を使うことで、発酵中のブドウの皮と果汁の接触を多くしているためだとしている。これらの発酵槽は新しい経営陣によってコンピューター制御の最先端の発酵槽に取り替えられた。
 ラ・ミッション・オー=ブリオンのワインのスタイルには常に強烈な豊かさがあり、フルボディで、すばらしい色とエキス分と、たっぷりのタンニンがある。私は1921年以降のラ・ミッションの最良のヴィンテージをすべて味わうという至福の経験をしているが、このワインは30年から50年、安々と瓶の中で保てるのである。かつての最大のライバル、オー=ブリオンよりも、常にはるかにリッチで、力強いワインである。このことから、また、貧弱または凡庸なヴィンテージでも一貫して目覚しい成果を上げることから、ラ・ミッションはボルドーで最も人気の高いワインの1つになった(ポイヤックのラトゥールとともに、貧弱なヴィンテージによいワインをつくることにかけては、ボルドーで最もすばらしい記録を持つ)。
 アンリ・ウォルトナーは1974年に世を去り、1983年にオー=ブリオンの現在の所有者に売却されるまで、ラ・ミッションはフランソワーズとフランシス・デワヴリン=ウォルトナーによって管理された。しかし、シャトーの管理について一族でもめごとが絶えなっかたため、結局、ラ・ミッションと2つの兄弟シャトー、ラ・トゥール・オー=ブリオンと白ワインをつくるラヴィル=オー=ブリオンは売却されることになった。ウォルトナー家は現在ナパ・ヴァレーに落ち着き、ハウエル・マウンテンの急勾配の山腹でシャルドネを生産している。

 1983年以来、ジャン・デルマは、このシャトーのワインに自らのワイン醸造の哲学を刻むため、ただちに行動に移った。シャトーが1983年に売却されるや、ワイン醸造のスタッフは即座に解雇され、デルマはウォルトナー時代に経済的な問題で低くなっていた新樽の使用比率を増やし始めた。いまやオー=ブリオン同様、ラ・ミッションは100%新樽を使っている。さらにメルロの割合は45%まで増加され、カベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランは減らされた。

 デルマによる最初のヴィンテージには優良だったが、過去の最高の年に見られたような力強さとは並はずれた豊かさはまだなかったのだ。シャトーによる最先端のワイン醸造設備の導入は1987年のヴィンテージに間に合い、ワインの品質は栄えある年のそれに戻った。ワインはより清潔になり、ラ・ミッションの古いヴィンテージのいくつかにあったツンとくる過剰な揮発酸や田舎臭いタンニンといった欠点は、ジャン・デルマの最新の管理のもとではお目にかかれそうもない。それでも、1983年から1986年の過渡的な期間の後の1980年代後半にはラ・ミッション・オー=ブリオンは復帰し、そのヴィンテージで最良のワインの1つとなった1987年、麗しの1988年、そして贅沢で完璧な1989年などをつくった。1989年は間違いなく1980年代で最上のラ・ミッションだ。1990年代のヴィンテージは、雨がちの9月に悩まされたにもかかわらず、ボルドーの最上のワインに入るものがつくられた。もちろん2000年は不死身で、1998年もほぼそれと同じだ。

 ラ・ミッションの新しいスタイルが、より古いヴィンテージと同じくらい長く熟成するとは考えられないが、若いうちから近寄りがたく、タニックであることもないだろう。最終的な分析では、ラ・ミッション・オー=ブリオンは依然として一級シャトーの品質のワインである。
 
~一般的な評価~
 道をはさんだところにあるオー=ブリオンとは長い間ライバルどうしだったが、1983年以来、所有者と運営を同じくしている。ここのワインが変わり、オー=ブリオンのセカンド・ワインに過ぎなくなるのでは危惧されていたが、そんな心配は無用であることが示された。ラ・ミッション・オー=ブリオンは、今もなお、一級並みの品質であり、価格がそれを反映していることは歴然としている。ここは、骨の髄までフルボディで地面を焦がしたような香りがするグラーブのスタイルの代表となる、スケールの大きい、濃厚な赤ワインをつくっている偉大なシャトーである。さらに、ここのワインは伝統的な熟成能力を持っている。ラ・ミッション・オー=ブリオンは、文句なしに世界でもっとも非凡で独特なワインの1つである。ラ・ミッション・オー=ブリオンは、文句なしに世界で最も非凡で独特なワインをの1つである、要するに、人生は短いのだから、ラ・ミッション・オー=ブリオンを飲んで楽しむべきなのだ。
 
平均年間生産量:7万2000本
畑 面積:20.9ha、平均樹齢:21年、密植度:1万本/ha、平均収量:45hl/ha
育て方:発酵とマセレーションは温度管理された180hl入りのステンレスタンクで行う。熟成はオークの新樽で20ヶ月。清澄するが、濾過はしない。
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン48%、メルロー45%、カベルネ・フラン7%
所有者:ドメーヌ・クラランス・ディロンSA