Chateau d'Yquem

シャトー・ディケム(イケム)

フランス:ボルドー ソーテルヌ地区・特別第一級

 

 

デザートワインの最高峰

 
 1855年の格付けでソーテルヌから唯一特別第1級に輝いた世界最高峰の貴腐ワインです。真に独自の地位を保つと言われる唯一のシャトーで、多いときには数回も同じ区画を回り極上の貴腐ブドウのみを手摘みし収穫します。馥郁とした香りをもつ甘美な風味と長い熟成によって生まれる限りない深みには比肩するものがありません。
 

 
ソーテルヌの格付けにおいてただひとつだけ、格付け最高峰のプルミエ・クリュ・シュペリュールにランクされているシャトー・ディケム。シャトー・ディケムの素晴らしさは類稀なテロワールにもありますが、シャトーを運営する人々の妥協を許さぬ厳しさ、「まさにディケムの名にふさわしいディケム」を造りだそうとする弛まぬ努力にあります。栽培においては、テロワールの良さを引き出すために一切化学肥料を用いません。また、ブドウの収穫量を下げて熟度を上げるため、初冬に厳しく剪定を実施。収穫期前には、70万本にも及ぶブドウの木の東側だけ葉を落とします。これによって日照量を確保し、最適な状態でブドウを収穫することが可能となります。

収穫後、一時間以内にシャトーに運ばれ、ブドウは3~4回にかけてプレス。ディケムの醸造では、ソーテルヌにおいて珍しい樽発酵を行うことが特徴です。最高級のそれにはオーク樽を新樽率100%使用。樽ごとに丁寧に監視し、2~6週間の発酵を行います。その後、6~8ヵ月間熟成。テイスティングにより基準を満たしたものは更に20ヵ月間熟成させ、ブレンドされてから瓶詰が行われます。

これだけの手間をかけて誕生した貴腐ワインは、まさにソーテルヌの頂点にふさわしい味わい。また、このワインはその長命さでも愛好家を驚かせてきました。ワイン評論家ロバート・パーカー氏によると、飲み頃は10〜100年も続くとされ、計り知れない熟成ポテンシャルを誇ります。
2007
シャトー・ディケム 375ml
¥40,400 品切中
2006
シャトー・ディケム
¥60,500 品切中
2005
シャトー・ディケム 375ml
¥41,200
1996
シャトー・ディケム 375ml
¥24,200 品切中
1994
シャトー・ディケム
¥60,500 品切中
1991
シャトー・ディケム
¥53,000 品切中
“Y”Chateau d'Yquem
2019
イグレック
¥25,450 品切中
2018
イグレック
¥24,750 品切中
2017
イグレック
¥24,750 品切中
2014
イグレック
¥21,500  品切中
2010
イグレック
¥24,900 品切中
 

ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
 ソーテルヌ地方の中心部に位置するディケムは、沢山の第一級シャトーに囲まれた畑を見下ろす小さな丘の頂きに雄大に広がっている。1785年から1997年までの間、このシャトーは、まさに一族によって所有されていた。アレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は、この広大なシャトーの経営責任者である一族の最も新しいメンバーで、1968年に叔父からこのシャトーを引き継いだ。1997年に、このシャトーは巨大なコングロマリット、モエ=ヘネシーに売却されたが、この売却はリュル・サリュース伯爵の異議により成立せず、現在も彼が管理人である。

 イケムの偉大さとユニークさにはいくつかの要因があることは間違いない。まず第一に、独自の微気候を伴う完璧な立地条件がある。第二に、リュル・サリュース家は、97kmにも及ぶパイプを用いた精巧な排水システムを設置したこと。第三に、ディケムには、経済的な損失やトラブルを斟酌せずに、最も良質なワインだけを生産しようという狂信的とも言える執念が存在するだ。ディケムが、近隣の畑に比べてこれほど優れている最大の理由は、この最後の要因にある。

 ディケムでは、1本のブドウの木からたったグラス1杯のワインしかつくらないと誇らしげに語られる。多くの場合、イケムに6週間から8週間滞在し、最低でも4回はブドウ畑をまわる150人もの摘み手のグループによって、ブドウが完璧に成熟するのを待って一粒一粒摘まれる。1964年には、摘み手たちは、13回にもわたって畑をまわったが、不向きと見なされるブドウを収穫しただけで、結局このヴィンテージではまったく何も生産しなかった。ワイン醸造りをしているシャトーのなかで、収穫全体を自発的に格下のワインにまわすところ、あるいはそれが経済的に可能なところはほとんどない。

 ディケムは信じられないような熟成の可能性を持っている。イケムのワインはあまりにリッチで、ふくよかで甘いために、その多くはいつも10回目の誕生日を迎える前に飲まれてしまう。しかし、イケムが最高の飲み頃になるにはほとんどの場合15年から20年の年月が必要であり、偉大なヴィンテージは、50年あるいは75年以上以上経っても、新鮮で退廃的な芳醇さを備え続けているだろう。私がかつて飲んだことのある最も偉大なイケムは1921年ものだった。驚くほど新鮮で生き生きとしており、その贅沢さと豊かさは決して忘れることはないだろう。

 こうした品質への情熱的なこだわりは、何も畑に限ったことではない。ワインは新樽の中で3年以上かけて熟成され、全収穫量の20%が蒸発により失われる。リュル・サリュース伯爵が瓶詰めできると見なしたワインでも、最良の樽からだけ厳しく選別される。1975年、1976年、1980年といった秀逸な年には、樽の20%が排除された。1979年のような困難な年には、60%のワインがはずされた。1978年のような手に負えないヴィンテージでは、85%のワインがイケムとして売るのにふさわしくないと判断された。私の知る限り、これほど無情な選別過程をとり入れているシャトーはほかにない。ディケムでは、芳醇さが少しでも失われることを恐れて、決して濾過処理を行わない。

 ディケムはまた「Y」と呼ばれる辛口のワインをつくっている。これは特色のあるワインであり、ディケムらしいブーケを持ちながら、樽香が強く、味は辛口で、通常は非常にフルボディ際立ってアルコール度数が高い。力強いワインで、私の舌にとっては、フォアグラのようなコクのある食べ物と一緒に出されるのが最高である。ディケムはほかの有名なボルドー・ワインと違って、プリムール、つまり先物で売られることはない。このワインは、通常はそのヴィンテージの4年後に、極めて高い価格で出荷されるが、費やされた労力、リスク、そして厳格な選別過程を考えれば、最高の値札に値する数少ない高級価格ワインのひとつである。
 
~一般的な評価~
 ディケムがボルドーに2つとない偉大なワインであることは、説得力のある真実だと主張できる。
 
平均年間生産量:10万本
畑 面積:125ha(生産中の畑は103ha)、平均樹齢:30年、密植度:6500本、平均産出量:8hl/ha
育て方:発酵と42ヶ月間の熟成はオークの新樽で行う。清澄も濾過も行う。
ブレンド比率:セミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン20%
注記:このシャトーはイグレック(YGREC)と呼ばれる辛口白ワインも生産している。つくられたヴィンテージは以下の通り:2000年、1996年、1994年、1988年、1985年、1980年、1979年、1978年、1977年、1973年、1972年、1971年、1969年、1968年、1966年、1965年、1964年、1962年、1960年、1959年。
 ディケムが生産されなかったのは1992年、1974年、1972年、1964年、1952年、1951年、1930年、1915年、1910年。