10R Winery

トアール・ワイナリー

日本:北海道

 
バークレーで醸造学を修め、カリフォルニアで醸造コンサルタントをしていた練達のブルース・ガットラヴは、ココファームワイナリーの依頼で醸造指導に来日(1989年)。同ワイナリーの醸造責任者としてワインの品質向上を実現するとともに、量より質を追求する志やみがたく、自身の畑と醸造所を構えることを決意。かつて岩見沢のブドウを仕込み、出来上がったワインのスタイルが好みどおり芯があって優雅な骨格を備えていたので、家族とともに岩見沢へと移住し10Rワイナリーを設立(2009年)。ワイン造りの職人に終わらず、ワインの文化とその社会的な役割に深い関心があったブルースは、ワインを自作するかたわら、北海道のブドウ栽培家たちが意見交換をしながらワインを造る場と機会を提供し、自身は彼らへの助言役に徹している。ワインへの介入を極力避けるブルースは、広く積極的なテイスティング経験をもとに、同じ志を持つ生産者達と交流し、今や世界的な視野と抜きんでた醸造実績を持つ、日本を代表する造り手として認められている。
 

Blanc
2020 ステラマリス ケルナー
¥6,160  品切中
2019 ステラマリス ツヴァイゲルト・レーベ
¥6,160  品切中
 

 
【畑と栽培について】
ワイナリーとしては 14ha の土地を持っていて、そのうちの 3ha にブドウを植えており、有機栽培で管 理をしている。畑は以前から別の作物の農地として利用されて来ていた場所だったそうで、年々畑とブド ウ樹の状態は向上しており、出来上がるワインを飲んでも、“年々馴染んできている”と二人とも実感して いる。
・剪定:「冬の寒く静かな中、鳥たちの声を聞きながら無心に行うのが、剪定の醍醐味」と話すブルースさ んと亮子さんだけれど、岩見沢の場合は収穫が終わるとすぐに、雪の対策として、ブドウの蔓を垣根仕立 てのワイヤーからはずしブドウ樹を地面に寝かせる作業の必要がある。堆肥も撒けたら撒くけれども、収 穫後の耕作もする時間がない。そうこうしているうちに雪が降り、春になって雪が解け剪定できる状態に なると、萌芽の時期はすぐ目前。なので岩見沢での剪定はとってもあわただしい。
 
【醸造について】
醸造所内には樽、ステンレスタンク、コンクリートタンク、クヴェヴリが並ぶ。コンクリートタンクは やはり優秀で、温度の変化がゆっくりであることがよい。醗酵時の温度上昇もそうだが、1 次醗酵の終わり になるころには、岩見沢では寒くなりすぎているため、醗酵が終わりきらないことが多い。その点コンク リートタンクは、1次醗酵ピーク時の熱を少しでも保ってくれているので、1次醗酵が心配なく終わりやす い。
マセレーション時には通常ブドウは除梗をされる。特にピノ・ノワールは、全房発酵はさせない。ツヴ ァイゲルトは果実味が比較的強いので、20〜30%全房で行うことがある。全房にするときは、ソフトさや 軽やかさではなく、骨格を与えることを狙って行う。マセレーションの間は、醗酵中に 1 週間に1度、ピ ジャージュかルモンタージュをする程度。可能ならば亜硫酸無添加で瓶詰めをすることも。
受託醸造分も含めると、例年 50〜60 トンのブドウを仕込むが、10R ワイナリー所有の畑のブドウから 造られる上幌ワインは、年産 4000〜6000 本程度(2020 年現在)。